哲学における諸問題とその歴史的な流れを理解するために、人格の同一性、懐疑論、時間といったトピックについての理解を深めながら、その歴史的な発展とともに概観します。近代哲学の嚆矢となったフランスの哲学者ルネ・デカルト(1596−1650)の思想は、数百年経った現代の私たちにとってもアクチュアリティを持つ様々な論点を含んでいます。とりわけ本講義で扱う三つの問題(人格の同一性、懐疑論、時間)には、私たちが日常生活を送る上でも切り離すことのできない根本的な意義があります。たとえば、「昨日の自分と今日の自分は同じ人物なのか」、「目の前の机は本当に存在しているのか」、「過去や未来はどこにあるのか」といった問題です。このような、生活の基礎や前提を成しているために逆に気がつかないような問題を取り上げるのが、哲学という学問です。本講義を通して、日常の根本へと目をむける新たな視座を獲得していただれば良いと思います。
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