シラバス情報

科目名
質的調査法
開講年度学期
2024年度後期
配当学年
3年
ナンバリング
単位
2単位
時間
後期 火曜日  3時限目  13:00-14:30
教室
教科書
教育研究のための質的研究法講座 北大路書房 関口靖広

1.担当教員
担当教員
山﨑 洋史
研究室
5号館4階
オフィスアワー
木曜日3時限目13:00−14:30

2.授業の目的
(1)授業の目的
人の心を客観的に理解し、適切な心理支援をするために、心理学研究法のもとに質的調査が開発されている。質的調査を実施し、その結果を科学的に分析し,考察から介入・提言を行い心理支援や社会貢献を実践していくことが求められる。授業では、質的調査が必要とされる対象について,適切な方法を心理学研究法より選択し,調査を実践し、その結果を客観的な手続きで考察し、報告する基礎能力を身につけること目指す。
①心理学研究法に基づく質的調査の「選択」「計画」「実施」「結果」の流れについて基本的理解ができる。
②特定の心理的課題解明のために調査目的を明確化し、質的調査を選択することができる。
③調査目的に基づく,倫理的な配慮を加えた調査を設計することができる。
④調査結果を,合致する心理学分析法を用いて探索的研究ができる。
⑤質的結果に基づく考察を行い,報告書の作成ができる。
(2)到達目標とディプロマポリシーとの関連
 質的調査の一般的な過程及び倫理・結果・考察について概説し、それらを踏まえた心理学調査の基本学修をテーマとして取り扱う。ディプロマポリシー「6.心理学の多様な視点(生理・認知・社会)から、人の心のはたらきと行動を科学的に理解するための知識を備え、現代社会の様々な問題にそれらを応用することができる。」に関わる知識・スキルの獲得を目指す科目である。
① 「質的調査概論」に触れ、通俗的な心理調査への誤解を解く。〈学部DP2①、学部DP2②、心福DP3②、心福DP4①、心福DP4②〉
② 人間の心や行動を理解するための基礎的な知識を持つ。〈学部DP2①、学部DP2②、心福DP4①、心福DP4②〉
③ 人間を理解するための科学的な姿勢と視点を持つ。〈心福DP3②、心福DP4②〉
④ 人間の心や行動について心理学的に考えることができるようになる。〈心福DP1①〉
※各学科各学年のディプロマ・ポリシーはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1vMVlJoCFFsO-n6_ljtpbwYmSL2IAU5Q3/view?usp=drive_link】
※各学科各学年のカリキュラムマップはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1H_tCOiCeKmdQnNmr-Lh4INKo7mlB-jmt/view?usp=drive_link】

3.授業の概要
 心理学は科学であり,エビデンスに基づくことが求められる。授業では、科学的人間理解のため心理学研究法に基づく質的調査法について具体的調査事例を交えて深化させていく。また、調査結果から得られたデータより、仮説探索を行うための心理学的質的解析や,仮説検証を行う方法も学んでいく。さらに、人間を対象とする研究で最も必要とされる配慮である研究倫理および倫理的配慮の具体的方法も学ぶ。
 講義のみではなく随時アクティブ・ラーニングを実施する。グループワークを取り入れて対話的に、積極的に自らのものとして理解度をあげていく。毎時小レポートを実施する。

4.授業の受け方・勉強の仕方
(1)予習の仕方
①授業前には,該当する教科書・資料の該当部分にあらかじめ目を通して,疑問点をまとめてくること。
②文科省『大学設置基準』第21条の趣旨を踏まえ,受講者各自において単位の実質化を実現することに留意し,それに必要な自主的学習の時間的ボリュームを確保すること。
(2)授業の受け方
①新しい概念を学修する場合、そのまま受け入れずに、疑問があれば、その疑問を大切にしてほしい。
②主体的に自らの経験や考えとのマッチングを常に行いながら学ぶ
③疑問や質問は積極的に行って、腑に落ちるまで食らいつく意欲があれば素晴らしい。
④グループワーク時は、お互いの視点や考え方を尊重しながら、対話を継続的に行う。
⑤単なる機械的暗記ではなく、その用語が生まれてきた必然について、意味の把握をすることを深めてほしい。
(3)復習の仕方
①授業後に,当日中にノートの内容を整理し,疑問点があれば関連文献やインターネット等で調べて補充しておくこと。
②復習によって理解できなかった事項については,次回以降、随時質問すること。

5.受講にあたってのルール
①グループワーク時、自己および他者を共に尊重する受容的な態度が求められる。違いを大切にすることをルールとする。
②毎時レポート提出は、毎回の授業時間終了時までに行う。
③欠席遅刻の無いようにする。基本的に20分以上の遅刻は出席にカウントされない。基本的に6回以上の欠席は単位習得が出来ない。

6.授業計画と「予習・復習」の内容及び必要な時間
テーマ
予習・復習
備考
第1回
オリエンテーション
質的調査を履修する上での問題意識の明確化を図る<90分>  
第2回
1 質的研究法:どのような問いを探究するか
  研究課題と研究設問
  量的アプローチ
  質的アプローチ
  質的アプローチにおける問い
問題意識の明確化を図る<90分>  
第3回
2 研究の開始:研究日誌をつける
3 研究手続きの検討
  観察
  インタビュー(面接)
  質問紙
  資料の収集
  実験
  予備研究(pilot study)を行う
問題意識の明確化を図る<90分>  
第4回
4 主研究の実施
  データ収集の許可を得る
  フィールドに入る
5 観察の記録
  観察ノートの書き方と内容
  観察ノートを書く際の注意
  データ収集実習:観察
  データ収集実習:インタビュー
問題意識の明確化を図る<90分>
第5回
6 データの分析
  データ収集中の分析
  データ収集後の分析
  データ分析の手順
問題意識の明確化を図る<90分>
第6回
7 研究のまとめ
  序論部分
  本論部分(データ分析と考察)
  結論部分
問題意識の明確化を図る<90分>
第7回
8 概念枠組みと研究課題の設定
  概念枠組みの設定
  研究課題・研究設問の設定
9 事例の選出(サンプリング)の方法
  研究の初期に行われる事例選出の方法
  データ分析過程での事例選出法
問題意識の明確化を図る<90分>
第8回
10 理論生成とグラウンデッド・セオリー・アプローチ
  理論とは
  概念とカテゴリー
  カテゴリー(および概念)の生成とそれらの階層的関係づけ
  仮説の生成
  コーディング,サンプリング,理論の創造
  分析方法:継続的比較法
問題意識の明確化を図る<90分>
第9回
11 教授実験,デザイン実験,アクション・リサーチ
  教授実験
  デザイン実験
  アクション・リサーチ
問題意識の明確化を図る<90分>
第10回
12 インタビューの方法
  インタビュー対象者の選出
  インタビューの内容
  質問の順序に関するヒント
  質問に使う言い回し
  信頼関係の形成と中立性の維持
  より深い理解のためのインタビュー技術
  インタビューのコントロール
  聞きにくい事柄のインタビュー
  インタビューの事例研究
  インタビューの記録
  さまざまなインタビュー手法の創造
問題意識の明確化を図る<90分>
第11回
13 文化の全体論的理解:文化的意味と文化的テーマ
  文化的意味
  文化的テーマ
問題意識の明確化を図る<90分>
第12回
14 分析の単位
  個人
  慣習的行為
  エピソード
  遭遇または出来事
  役割
  プログラム
  関係
  グループ,集団
  組織
  地域社会
  社会的世界,ライフスタイル,下位文化
問題意識の明確化を図る<90分>
第13回
15 分析:何を明らかにするのか
  タイプ
  構造
  頻度
  原因
  プロセス
  結果
  ストラテジー(方略)
問題意識の明確化を図る<90分>
第14回
16 質的研究の評価
  研究結果の妥当性の問題
  研究結果の一般化可能性の問題
  教授実験,デザイン実験,アクション・リサーチの評価
問題意識の明確化を図る<90分>
第15回
シェアリング
問題意識の明確化を図る<90分>
第16回
予習・復習

7.評価方法(テスト、レポート、課題等へのフィードバック方法を含む)
到達目標と評価項目の関連
(1)テスト(60%)〈到達目標①、到達目標②〉
(2)課題レポート(20%)〈到達目標③、到達目標④〉
(3)授業への参加(20%)〈到達目標④〉

8.参考図書・文献
教育研究のための質的研究法講座
関口靖広
北大路書房
9784762828096
質的研究法マッピング (ワードマップ)
サトウタツヤ
新曜社
9784788516472

9.履修上の注意
(1)欠席が6回以上となった学生は、単位取得ができない。
(2)特別な配慮を要する学生は事前に担当教員に申し出ること。
(3)授業実施に関する掲示を時々するので、随時注意して見ておくこと