シラバス情報

科目名
心理学的支援法(講義)
開講年度学期
2024年度前期
配当学年
3年
ナンバリング
単位
2.00単位
時間
木曜日3時限(13:00〜14:30)
教室
524教室
教科書
特に使用しない

1.担当教員
担当教員
中嶋 みどり
研究室
5号館4階
オフィスアワー
木曜日2時限(10:40〜12:10):予約優先

2.授業の目的
(1)授業の目的
 心の問題を心理学的な視点から支援する心理療法は多様に存在するが、それらに共通する要素を概観し、心理臨床家(臨床心理士、公認心理師)としての支援法を理解できることを目的とする。具体的には、心理療法における関係のあり方やプライバシーの扱い方や主要な心理療法の基礎概念、歴史、技法の特徴について理解すること、公認心理師として大切な支援である、アウトリーチや地域支援、チーム支援の意義や実際を取り上げ、支援の多様性を理解できることを目的とする。
(2)到達目標とディプロマポリシーとの関連
① 心理療法の歴史的概観を理解し、代表的な各種心理療法の発展、理論や技法について、基礎的な理解がなされている。<心理福祉DP6>
② 多様な心理療法の理論に共通する要素(心理療法の面接構造、基本的過程、心理臨床家の姿勢、人間観等)を理解し、専門的な支援関係を適切に理解する。同時に面接構造を崩すとどのようなことが起こると想定されるかを理解している。<心理福祉DP6、心理福祉DP8>
③心理臨床家(臨床心理士、公認心理師)の役割と基本的姿勢を土台にした、多様な現場での支援法を学び、関係者の支援の意義やアウトリーチの重要性を理解するとともに、倫理観の重要性を理解している。<心理福祉DP6、心理福祉DP7>
※各学科各学年のディプロマ・ポリシーはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1vMVlJoCFFsO-n6_ljtpbwYmSL2IAU5Q3/view?usp=drive_link】
※各学科各学年のカリキュラムマップはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1H_tCOiCeKmdQnNmr-Lh4INKo7mlB-jmt/view?usp=drive_link】

3.授業の概要
 心理臨床の歴史的概観、技法としての発展や特徴、人間観をつかみながら、面接関係で何が起き得て、要支援者、心理臨床家にどのような心の動きがあるか、実例を挙げながら進める。その際、自身の考えを発言もしくは書字で示し合い、他人の多様な考え方を知るアクティブラーニングの方式を一部の回で採用するといったように事例を盛り込み、実践的で高度な理解を深めていく。公認心理師として、アウトリーチでの支援や関係者の支援とチームアプローチの意義、有用性について理解する。

※本講義は、複数の心理臨床現場で支援を行った実務経験のある有資格者が行う講義である。
※関心のある領域・知見を広めるための情報検索・提示、意見をまとめるにあたって、クリッカー、Google Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用したアクティブラーニングを実践する。


4.授業の受け方・勉強の仕方
(1)予習の仕方
・心理療法に関する用語、手法は多様であるため、予習事項について、文献を調べ、内容を理解するように努めること(一部はレポート課題となる)
・心理臨床現場での臨床を扱う講義であるため、心理的問題、疾病に関する用語、臨床心理学の基礎的用語・概念も非常に多い。よって、日頃から低学年での講義の専門用語も含めて復習することが予習につながると理解しておくこと。
・資料も非常に多い授業であるが、事前に読んでおくと習熟度がかなり異なるので、着実に行うこと。
※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。
(2)授業の受け方
・授業は、配布資料に基づき進める。重要点は強調するので、留意すること。事例を盛り込んだ内容を扱うため、メモしながら、基本的な心理療法の用語、技法の特徴を理解すること。
・心理臨床現場における最終的な反応・対応は1つに限らないことが多く、その場では大概1人で考えねばいけない。「自身が専門家だったら」「この立場なら」と複数に視点移動する姿勢で常に考え、問いかけに対し、積極的に回答・参加すること。
・他人の考え方に敬意を払うこと。他人と同じ考えだとしても、自分の意見として同じでも丁寧に述べること。そのような過程から、人間の行動や反応の理由を考える力をつけるようにすること。
(3)復習の仕方
・配布資料、講義中のノートを早いうちに復習し、理解を定着させること。
・リアクションペーパーなど、提出を求められる課題を遅延なく、仕上げ、提出すること。
・紹介している参考図書をよく読み、理解に努めること。
・関連する心理・社会的問題に関心をもって理解し、自分で深めて考えられるようになること。

※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。

5.受講にあたってのルール
・本講義は、「心理臨床現場の専門家としての姿勢」と多様な心理的支援のアプローチを学ぶため、興味・関心だけでなく、高い倫理観と責任感を持って臨むこと。受講時は私語は慎み、居眠り・内職は行わないこと。
・心理的問題や何らかの障害を持つ人を物見遊山で捉えず、人間の姿としての状態、意味を考えること。
・考慮に値する理由のない30分を超える遅刻は欠席扱いとし、遅刻2回で1回の欠席とみなす。欠席回数が3分の1以上の者は、成績評価の対象としない。
・授業内で問いかけることもあるが積極的に回答すること、オンラインで受講する学生も、音声またはチャットで回答すること。
・リアクションペーパーやレポート課題は、テーマに沿い、調べ学習をし、よく考えた上で書くこと。テーマから外れた記述や省察のない単なる感想のみで終わる場合は、平常点の加点外とする場合がある。
・リアクションペーパーや課題に取り組むにあたり、引用・参考文献は、きちんと書き留めること(盗用しない)。
・カンニングやレポートの写し等の不正行為、その疑いについて明確な説明をしない場合、専門家養成を意識した本科目では「自身が責任ある行動を示さない」ものとして、その課題ないしは成績全体を0点とする。

6.授業計画と「予習・復習」の内容及び必要な時間
テーマ
予習・復習
備考
第1回
オリエンテーション
心理療法の定義・種類
シラバスを読んでくること
心理療法の定義・種類
第2回
心理療法の歴史、意義、適用、限界
心理療法の歴史、意義、適用、限界心理療法の歴史、限界
第3回
面接構造と特殊な専門的関係、心理臨床家の基本的姿勢と倫理①
心理臨床家(公認心理師・臨床心理士)の役割、立場
report課題の提示①
第4回
面接構造と特殊な専門的関係、心理臨床家の基本的姿勢と倫理②
面接構造、心理臨床家の倫理、転移、逆転移、中立性
第5回
クライエント中心療法の概要、特徴
・ロジャーズの人生観と心理臨床家の視点
・クライエント中心療法
report課題の提出①
第6回
クライエント中心療法から人間性心理学
・人間性心理学とは
・クライエント中心療法からの発展
第7回
精神分析療法の概要、技法的特徴
・精神分析療法、力動的心理療法の特徴、技法、直面化、抵抗
・無意識とそれにまつわる現象
第8回
理解度の確認①
第7回までの内容を復習すること
第9回
行動療法、認知療法の概要、技法的特徴
・行動療法の種類と特徴、応用行動分析
・認知療法の特徴、認知の歪み
第10回
認知行動療法の概要、技法的特徴
・認知行動療法の特徴と応用
・スキーマへの介入
第11回
子どもの心理療法
芸術療法
・子どもへの心理臨床の特徴
・芸術療法の種類と特徴
report課題の提示②
第12回
グループアプローチの概要、技法的特徴・集団精神療法
・SSTの種類
・ペアレントトレーニング
第13回
コミュニティアプローチ・コミュニティ・アプローチの特徴
・危機介入
・コンサルテーション
第14回
チームアプローチ、アウトリーチ支援の重要性
・チームアプローチ、アウトリーチ
・コンサルテーション、OJT
第15回
理解度の確認②
第9回から第14回までの内容
report課題の提出②
第16回
予習・復習
 心理的支援法は、心理臨床家の姿勢の初歩的科目です。専門性の高い内容ゆえの難しさはありますが、心理的問題や障害、心理療法の技法、事例を自主学習してください。講義内で扱った内容や例は、理解し、強調したところは特に定着させること。目安の時間として、授業1コマにつき、予習・復習120分程度が必要。

7.評価方法(テスト、レポート、課題等へのフィードバック方法を含む)
到達目標と評価項目の関連
・理解度の確認およびレポート(70%):理解度の定着度とレポート課題から評価する。重要なポイントは、事前回で解説する。
・平常点(30%):毎回のリアクションペーパー、予習の程度や授業内の活動への参加度の評価から行う。
・授業内で扱いきれなかった解説・疑問点の回答、重要なポイント等は、次回以降、リプライを返します。
・考慮に値する欠席は、判明次第、申し出ること。内容を考慮し、臨機応変に対応するので、滞りなく行うこと。補講は行わないので、自身の責任で不在分を補填してください。


8.参考図書・文献
やさしく学べる心理療法の基礎
窪内節子・吉武光世
培風館
978-4563056698
心理臨床家の手引[第4版]
鑪幹八郎・名島潤慈
誠信書房
978-4414400595
ロジャーズクライエント中心療法新版 -カウンセリングの核心を学ぶ-
佐治守夫・飯長喜一郎
有斐閣
978-4641173761
新訂増補 方法としての行動療法
山上敏子
金剛出版
978-4772414685
ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1
伊藤絵美
医学書院
978-4260012454
改訂 精神分析的人格理論の基礎—心理療法を始める前に
馬場禮子
岩崎学術出版社
978-4753 311040

9.履修上の注意
①公認心理師に必要な科目です。後期の心理的支援法(演習)、心理演習Ⅰ・Ⅱ、心理実習の履修を考えている人は、本授業内容の理解が前提です。履修してください。
②専門的支援関係の構造について学ぶ科目であるので、他の専門職志望の人と相談技術が異なることがあるが、一つの考え方として学びたい方にはお勧めできる科目です。
③一部の回で自分自身の考えや反応を受講者同士、全員で話し合えることを基本的な態度として求めます。オンライン受講の人でも、チャットなどでも対応できない方には、履修は向きません。正解より、多様な考え・経験を出し合える姿勢が大切であり、興味深い勉強です。かなり和やかな雰囲気で進めています。
④心理臨床現場での臨床を扱う講義であるため、毎回の資料、予習・復習課題が非常に多い授業であるため、自身の負担を考えて受講を決めること。特に心理的問題、疾病に関する用語、臨床心理学の基礎的用語・概念も非常に多いため、臨床心理学、精神医学系の科目、障害児・者の理解等の関連する科目を予めまたは同時に履修することが望ましい。
⑤心理的支援の在り方や考え方の多様性を学び合うため、リアクションペーパーや課題での内容を大切な学びの視点として、授業内で匿名で取り上げることがある点を承知すること。抵抗が強い場合は、本科目の受講は向きません。
⑥受講に際して、何らかの配慮を必要とする場合は、必ず2回目の授業までに担当者に相談してください。事情を考慮し、特別な配慮を行う場合があります。

※災害等で対面での授業が全学的に困難と判断された場合は、大学の通達に従い、遠隔授業を実施しますので、必ずunipaやメールを確認してください。