シラバス情報

科目名
心理的アセスメント
開講年度学期
2024年度前期
配当学年
3年
ナンバリング
単位
2.00単位
時間
木曜日1限(9:00〜10:30)
教室
525教室
教科書
願興寺礼子・吉住隆弘(2011).心理学基礎演習vol.5 心理検査の実施の初歩 ナカニシヤ出版 ISBN 978-4779503870

1.担当教員
担当教員
中嶋 みどり
研究室
5号館4階
オフィスアワー
木曜日2時限(10:40〜12:10):予約優先

2.授業の目的
(1)授業の目的
 心理臨床現場での心理査定は、心理検査のみならず、行動観察、面接法などの手法から得た情報も総合して、行われるものである。心理査定にあたり、来談者の心を理解し、診断や見立て、適切な支援等に活かす情報を得て、どのように活用するかを明確にし、来談者と共有する必要がある。そのための説明と同意、不要な不安・負担を与えない配慮を学ぶことをも本講義の目的に含まれている。その上で各種心理検査の手法の特徴を学び、データの管理、報告書のまとめと伝え方のポイントの基礎を理解できていることを目的とする。
(2)到達目標とディプロマポリシーとの関連
①心理査定の目的、方法、注意点について、倫理的配慮に基づいた対応や査定を行う姿勢の基本を理解している。<心理福祉DP7>
②各種心理検査の特徴、概要と長所・短所の理解のみならず、テストバッテリーの適切な考え方を理解している。<心理福祉DP6、心理福祉DP7>
③心理検査場面において必要な説明と同意を学び、被検者が感じる繊細な心情、(例.自分を覗かれ、つまびらかにされる感覚など)に配慮しながら、被検者の人格を尊ぶ姿勢と適切な倫理観をもっている。<心理福祉DP8>
④心理検査結果をもとに、役立つ多面的な理解や適切な報告のあり方の基本を押さえることができる。<心理福祉DP6、心理福祉DP7>
⑤倫理的配慮を遵守した記録の書き方、管理のあり方を理解している。<心理福祉DP7>
※各学科各学年のディプロマ・ポリシーはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1vMVlJoCFFsO-n6_ljtpbwYmSL2IAU5Q3/view?usp=drive_link】
※各学科各学年のカリキュラムマップはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1H_tCOiCeKmdQnNmr-Lh4INKo7mlB-jmt/view?usp=drive_link】

3.授業の概要
 本講義では、心理査定の基本的概念、基本的姿勢および倫理観を学び、各種心理検査の特徴、長所や短所を学び、心理検査の合理的な選択や検査の組み合わせ(テストバッテリー)を理解する。また、心理検査を受ける者の心理的状態・検査場面に関するワークを行い、対応を履修者に問いかけながら行うアクティブラーニングの手法をとる回も含み、実践的な現場・場面を扱った高度な理解を深めていく。

※本講義は、複数の心理臨床現場での心理検査、心理臨床の実務経験をもつ有資格者が担当する。
※関心のある領域・知見を広めるための情報検索・提示、意見をまとめるにあたって、クリッカー、Google Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用したアクティブラーニングを実践する回がある。

4.授業の受け方・勉強の仕方
(1)予習の仕方
①心理査定は多様な手法から行われ、用語としても非常に多いため、予習・復習事項に記載された事項について調べて、まとめておくこと。
②予習事項は、レポート課題となることが多いため、日頃から勉強すること。特に後半部分については、定型発達、脳の構造・機能の理解が必要で、習熟が難しい授業であるため、早くから予習すること。
③多様な心理的問題、精神疾患を常日頃から理解しておくこと。そのためには、関連する授業も履修すること。
④興味本位でなく、自ら文献を読み、学術的に的確な知見を学び取ること。

※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。
(2)授業の受け方
・配布資料をもとに進める。重要点は強調するので、書き留めること。事例も盛り込んだ内容を扱うため、その内容をメモしながらよく理解しておくこと。
・問いかけも時にするため、積極的に回答・参加すること。その際、他人と同じ結論に至る意見でも、自分の言葉で同じ旨を発言すること。
・リアクションペーパーやレポート課題には、テーマに沿って内容をよく考えた上での内省等を書くこと。提示しているテーマから外れた記述や省察のない単なる感想は、平常点の加点外とする場合もある。
(3)復習の仕方
・配布資料および授業中に書いたノートを早いうちに振り返り、理解を定着させること。
・リアクションペーパー等、提出を求められる課題を遅れないように仕上げること。
・理解が十分でなかった用語、多様な心理的問題、精神疾患、脳の構造等関連する知識について、自主学習すること。
・多様な心理検査の事例などの文献を読み、立場や視点を変えながら考え、多様な見立てについて学ぶこと。
・適切な配慮や人権の尊重とは何かを常に考える癖をつけること。

※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。

5.受講にあたってのルール
・専門家としての支援を学ぶ科目であることから、物見遊山でなく高い責任感と倫理観をもって臨むこと。よって、受講時は、私語を慎み、居眠り・内職等は行わないこと。
・考慮に値する理由のない30分を超える遅刻は欠席扱いとし、遅刻2回で1回の欠席とみなす。考慮に値する理由のない早退は欠席とみなす。
・欠席・課題提出遅延の場合、必ず連絡すること。欠席回数が3分の1以上の者は、成績評価の対象としない。考慮に値する事情がある場合は、必ず伝えること。良識の範囲を超えた遅延での報告では、対応できないことを心得ておくこと。
・授業内で問いかけたり、クリッカー等で考えを聴く場合があるが、オンラインで受講する学生も、音声またはチャットで回答してください。
・リアクションペーパーや課題提出等の回答は、心理的に見立てる大切な視点・1つの貴重な仮説として、匿名で取り上げることがある点を承知すること。
・心理検査等の知識や情報の扱い方に関して、専門家でなくても倫理を遵守すること。
・レポートやリアクションペーパーの作成にあたり、引用・参考文献は、きちんと書きとどめること(盗用しない)。
・カンニングやレポートの写し等の不正行為を行った場合、その疑いについて「わからない」など明確な説明をしようとしない場合、自分の行為に責任ある行動をしないという点で、専門家養成を意識した本科目では、その課題ないしは成績全体を0点とする。

6.授業計画と「予習・復習」の内容及び必要な時間
テーマ
予習・復習
備考
第1回
オリエンテーション
査定とは何をすることか
・シラバスを見てくること
・「心理査定とは」
第2回
心理査定の定義と歴史的変遷
心理検査の種類
・心理査定の歴史
・心理検査の種類
・関心のある心理検査を言えるようにすること
第3回
心理検査における倫理と実例からの検討
・心理検査における倫理的配慮
・インフォームド・コンセント
・心理検査、記録の管理の基本
第4回
心理査定の視点と正常・異常の視点
・心理査定からみた異常性の基準
・伝統的診断基準と操作的診断、DSMとICD
・生物・心理・社会モデル
第5回
質問紙法と作業検査法の概要、活用例
・質問紙法と作業検査法の特徴、限界
・質問紙法と作業検査法の検査事例
report課題の提示①
第6回
投映法の概要、活用
・投映法の特徴、限界
・投映法の検査事例
第7回
各種心理検査の特徴とテストバッテリー
心理検査が具備する条件
・各種心理検査の特徴を踏まえたテストバッテリーの例
・心理検査の信頼性、妥当性、有用性、弁別性
第8回
理解度の確認①
第7回目までの授業で扱った内容
第9回
知能検査・発達検査のなりたち、原理①
・知能検査・発達検査の歴史的変遷
・知能の考え方
report課題の提出①
第10回
知能検査・発達検査のなりたち、原理②
・知能検査・発達検査の特徴
・発達検査、定型発達、乳幼児健診の位置づけ
第11回
知能検査・発達検査の概要
・各種知能検査、発達検査の特徴、限界
・知能検査や発達検査の事例
・知的障害、発達障害、定型発達の理解
第12回
神経心理学的検査の概要、活用
・神経心理学的検査の特徴、限界
・神経心理学的検査の事例
・高次脳機能障害、脳機能障害、脳の理解
第13回
認知機能検査の概要、活用
・認知機能検査の特徴、限界
・認知機能検査の事例
・認知症、視・知覚と運動の協応
第14回
心理査定のための面接技術と報告書作成のポイントとフィードバックのあり方
・心理検査への導入への実際
・関与しながらの観察
・報告書作成のポイントとフィードバック
report課題の提示②
第15回
理解度の確認②
第9回目から第14回目の内容についての復習
第16回
予習・復習
 心理査定は、的確な心理的支援の第一歩の作業である。専門性の高い内容を扱うため、予習・復習課題以外に、心理的問題・障害、脳神経の重要な構造・機能については、自身で予習・復習をしてください。予習・復習目安の時間として、授業1コマにつき、120分程度が必要。基本的に資料も勉強量も非常に多い授業です。

7.評価方法(テスト、レポート、課題等へのフィードバック方法を含む)
到達目標と評価項目の関連
・理解度の確認およびレポート(70%):予習課題を土台にしたレポート課題から評価を行う。重要なポイントは、事前回で解説する。
・平常点(30%):毎回のリアクションペーパー、次週の予習課題と授業内の活動の参加度。
・授業内で扱いきれなかった解説・疑問点の回答、重要なポイント等は、次回以降をとりあげて、解説する。
・考慮に値する欠席は、すぐに申し出ていれば、臨機応変に対応するので、滞りなく行うこと。補講は行わないので、自身の責任で不在分を補填してください。

8.参考図書・文献
心理アセスメントの理論と実践—テスト・観察・面接の基礎から治療的活用まで
高瀬由嗣・関山徹・武藤翔太
岩崎学術出版社
978-4753311668
心理職は検査中に何を考えているのか?
浜内彩乃・星野修一
岩崎学術出版社
978-4753312252

9.履修上の注意
①公認心理師資格に必要な科目です。後期に心理査定実習を履修する人、心理演習Ⅰ・Ⅱの履修を考えている人は、必ず履修してください。
②専門的支援関係の構造について学ぶ科目であるので、高い倫理観を持って学ぶこと。また、頭で理解しているだけでなく、言動としても倫理的配慮が示せている必要があることから、授業資料、検査課題に関する知識・素材の扱いは遵守すること。
③授業資料、予習・復習課題が非常に多く、難易度が高い科目であるだけでなく、主体的な学びでしか身に着かない特徴が強い科目であるため、問いかけや実演等の参加に対応できない人の履修は、お勧めできない。
④臨床心理学、精神医学系の科目、障害児・者の理解等の関連する科目を予めないしは同時に履修していることが望ましい。
⑤受講に際して、何らかの配慮を必要とする場合は、必ず2回目の授業までに担当者に相談してください。
⑥査定(アセスメント)は主体的な学びが重要であるため、リアクションペーパーや課題提出内容については、時に心理的に見立てる大切な視点・1つの貴重な仮説として、授業内で匿名で取り上げることがある点を承知すること。また、授業内で問いかけたり、クリッカー等で考えを聴く場合があるが、オンラインで受講する学生も、音声またはチャットで回答してください。これらに抵抗が強い場合は、受講に向きません。

※災害等で対面での授業が全学的に困難と判断された場合は、大学の通達に従い、遠隔授業を実施しますので、必ずunipaやメールを確認してください。