シラバス情報

科目名
社会的養護Ⅰ
開講年度学期
2024年度前期
配当学年
2年
ナンバリング
単位
2.00単位
時間
木曜日Ⅱ時限(9:00〜10:30)
教室
122教室
教科書
『社会的養護』伊藤嘉余子・福田公教編著 ミネルヴァ書房

1.担当教員
担当教員
川上 芳夫
研究室
川上 芳夫
オフィスアワー

2.授業の目的
(1)授業の目的
子どもの権利とはどのような事かを理解し、国民の義務である児童養護の社会的な仕組みを理解します。児童養護の先駆者の業績を学ぶことにより、現在の社会的養護の問題点と、今後の児童養護のあり方についても考察します。
(2)到達目標とディプロマポリシーとの関連
① 児童養護とは何か、子どもの権利とはどのような事かを理解する。 

②  社会的な児童養護の制度・仕組みを理解する。

③  児童養護の先駆者の業績を知り現在につながる諸制度を理解をする。

④  児童福祉施設の役割を理解する。
人間発達学科のディプロマポリシー「保育士、幼稚園教諭、小学校教諭等の教育・保育に関する職業をめざす学生は、子どもの成長発達を支える専門職として必要な知識・技能を十分身につけている」に基づき、特に児童養護の制度・仕組みに係る知識の獲得を目指す科目です。
※各学科各学年のディプロマ・ポリシーはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1vMVlJoCFFsO-n6_ljtpbwYmSL2IAU5Q3/view?usp=drive_link】
※各学科各学年のカリキュラムマップはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1H_tCOiCeKmdQnNmr-Lh4INKo7mlB-jmt/view?usp=drive_link】

3.授業の概要
 この授業は児童相談所での児童福祉司や教育委員会のスクールソーシャルワーカーの実務経験がある教員による社会的養護の授業です。子育ては原則として両親が家庭で養育するものですが、核家族化の進行、地域の養育力の減少、女性の社会進出などの種々の社会的要因で家庭での子育てが両親や親族だけでは難しくなっています。児童虐待の増加や子どもの貧困など子どもをめぐる問題が顕在化するなかで、子どもの権利と国民の義務としての社会的養護のシステムがどのように構築されているかを学びます。また児童養護の歴史的な変遷、先駆者の業績などを学ぶことにより、今後の社会的養護の枠組みを考えます

4.授業の受け方・勉強の仕方
(1)予習の仕方
○ まず、教科書の該当ぺ一ジをきちんと読みましょう。初めて出る重要語句や人名には解説が書かれています。本文だけでなく、解説や図表もよく見ておいてください。 
○ 教科書には、各レッスンごとの「見出し」の下に内容を数行に要約した文がのっています。本文を読んだ後、もう一度見出しと要約文を読んでみると、理解が深まると思います。
(2)授業の受け方
○ 原則として、授業の最初に前回の学習内容の確認テストを行います。自分の理解度をチェックするためのものです。ただちに復習の時間をとりますので、答えをただ写すのではなく、自分が理解不十分なところを教科書を読み直してみましょう。
○ できるだけ補助プリントを用意して、ノートをとる時間は省きたいと考えています。よく講義を聞いて、アンケートに書く内容を考えましょう
(3)復習の仕方
○ 毎回の講義資料を中心に復習していきましょう。確認テストと解説だけでよく理解できないときは、いきなり答えだけを教科書から探そうとせず、教科書の本文全体を何回も読んでみましょう。

5.受講にあたってのルール
○ 教科書はひんぱんに参照します。授業開始時には机上で該当ページを開いておきましょう。
〇 基本的に、毎回の授業はオンラインで受けることが可能な形で組み立てていきます。諸事情で対面での出席が難しいときは、可能であれば、オンラインで参加してください。

6.授業計画と「予習・復習」の内容及び必要な時間
テーマ
予習・復習
備考
第1回
オリエンテーション
 社会的養護の意味:
 〇 高校までの学習内容を振り返るとともに、社会的養護の現状と課題を学習します。
 〇 社会的養護に関するニュース、こども家庭庁のサイトの参照のしかたなどを学習します。
教科書第1章
 〇 補助教材等で中学校・高校までの学習内容を振り返るとともに、教科書の「はじめに」「第1章」の文章をよく読み、社会的養護で学習していく内容について見通しをたてていきます。
 
〇 毎回、「こども家庭庁」のサイトなどを参照し、社会的養護に係る最新のデータ、情勢の変化をチェックしていきます。授業の後、「こども家庭庁」のサイトの記事はよく確認しておきましょう。
第2回
日本の養護問題の現状と子ども虐待
 〇 社会的養護とは何かということを学びます。
 〇 社会的養護を担う里親や施設といった制度を理解するとともに、そこで生活する子どもたちの現状、制度の課題などを学習します。
〇 教科書第1章全体をよく読む。
〇 児童養護施設をはじめとする社会的養護を担う施設にどんなものがあるか、自分の身近な地域にあるか、調べてみましょう。
第3回
子どもの権利擁護から考える
 新しい社会的養護の再編の方向性を学習するとともに、なぜ再編が必要なのか、子どもの権利擁護の観点から考えます。
〇 子どもの権利擁護の観点から、里親委託を増やそうという社会的養護の再編の方向性について教科書やこども家庭庁のサイトを確認しましょう。
第4回
社会的養護の基本理念
 〇 社会的養護の再編がなぜ必要になるのかについて、社会的養護の意義や必要性から学習していきます。
〇 教科書第1章をよく読む。
○ 以下の項目をよくチェックしておきましょう。
 ・児童福祉法制定の経緯
 ・社会的養護の基本理念
 ・地域化・小規模からみた社会的養護の配置
第5回
社会的養護の歴史1
 ○ 古代から明治期にかけての社会的養護の歴史について学習します。
教科書第2章
 ○ 時代ごとに、子どもの福祉のために尽力した先駆者たちの実践と思想をチェックしておきましょう。
 ○ 古代…四箇院、和気広虫
 ○ 中世…忍性、ルイス・デ・アルメイダ
 ○ 明治期…恤救規則


第6回
社会的養護の歴史2
 ○ 明治期における子どもと家庭に対する社会事業
 ○ 大正期における子どもと家庭に対する社会事業
 ○ 昭和前期の児童保護
教科書第2章
 ○ 次の人物の業績についてよく復習しておきましょう。
  ・石井十次、石井亮一・筆子、留岡幸助、高木憲次
 
 
○ 昭和前期の児童保護について次の事項をチェックしておきましょう。
  ・救護法、児童虐待防止法、少年教護法
第7回
近年の社会的養護の課題
 ○ 第二次世界大戦後から現代にかけての子どもの社会的養護の変遷について学習します。
 ○ 「新しい社会的養育ビジョン」の内容を中心に、国が目指す社会的養護の方向性について学習します。
教科書第2章をよく読み、以下の事項についてチェックしましょう。
 ○ 戦災孤児、児童福祉法、児童憲章、エリザベスサンダースホーム、
 ○ 糸賀一雄、びわこ学園
 ○ 1997年児童福祉法改正

 
レッスン6 
第8回
社会的養護の制度と実施体系
 ○ 社会的養護の体系について学習し、施設養護と家庭的養護に分けて、その内容について理解を深めていきます。
教科書第3章をよく読み、次の事項をチェックしておきましょう。
 ○ 「社会的養護」から「社会的養育」への流れ
 ○ 社会的養護にかかわる機関や専門職にどんなものがあるか。
第9回
子どもの権利擁護と社会的養護
 子どもたちの人権を守るためにはどうすればよいのかについて学習します。「国連ガイドライン」を中心に、子どもの権利を守るための国際的な動きを理解するとともに、近年の課題について学習します。
教科書第4章をよく読み、以下の事項についてチェックしておきましょう。
 ○ 国連ガイドラインと日本の社会的養護に関する指摘
 ○ 「社会的養護の課題と将来像」の内容、児童福祉法改正の流れ

 
 
第10回
社会的養護の理念と原理
 社会的養護を支える理念や理論、原理・原則について学習します。

教科書第5章をよく読み、次の事項をチェックしておきましょう。
 ○ 子どもの権利条約
 ○ ノーマライゼーション、バンク・ミケルセン
 ○ ホスピタリズム論争
第11回
施設養護の実践と方法Ⅰ
 ○ 社会的養護の施設はどのような子どもたちを対象にして、どんな職員がいるのか、学習します。
教科書第6章をよく読み、以下の施設について、現状と課題をチェックしておきましょう。
 ○ 乳児院
 ○ 児童養護施設
 ○ 児童心理治療施設
第12回
施設養護の実践と方法2
教科書第6章をよく読み、以下の施設について現状と課題をチェックしておきましょう。
 ○ 児童自立支援施設
 ○ 母子生活支援施設
 ○ 自立援助ホーム
第13回
家庭養護の実践
 里親と養子縁組制度について学習します。
第7章をよく読み、以下の事項をチェックしておきましょう。
 ○ 里親の種類、ファミリーホーム
 ○ 特別養子縁組制度
第14回
社会的養護に求められる専門性と援助技術
 社会的養護の実践に携わるにはどのような知識や援助技術が必要か、学習します。
教科書第8章をよく読み、以下の事項についてチェックしておきましょう。
 ○ 養育者が持つべき倫理
 ○ ソーシャルワーカーの倫理綱領、保育士の倫理綱領
第15回
社会的養護の課題と展望
 社会的養護の課題と展望について学習します。
教科書第9章をよく読み、以下の事項についてチェックしておきましょう。
 ○ 里親と養子縁組の課題
 ○ 児童福祉施設に求められる地域支援
第16回
予習・復習
 目安の時間として、授業1コマにつき、予習120分、復習120分を想定しています。教科書を使った予習が必要です。授業前に該当する教科書のページに目を通して、疑問点をまとめておきましょう。復習では、できればその日のうちに理解が不十分なところを教科書と配布プリントなどで復習しておきましょう。

7.評価方法(テスト、レポート、課題等へのフィードバック方法を含む)
到達目標と評価項目の関連
(1) 試験(50%)…(内容は第1回目の授業の時に説明します。)
 (2) 提出課題等(50%)…毎回提出していただく提出課題の取り組み、授業態度を加味します。

8.参考図書・文献
「そだちあい」のための社会的養護
遠藤 由美
ミネルヴァ書房
9784623092963

9.履修上の注意
(1) 病気・怪我など突発した事故や特別な事情がある時には申し出てください。
(2) 特別な配慮を希望する学生は申し出てください。
 (3)  その他疑問な点があれば気軽に質問してください。
【一時的な遠隔授業の対応について】
【(自然)災害時の授業対応について】
 基本的に、毎回の授業はオンラインで受けることが可能な形で組み立てていきます。諸事情で対面での出席が難しいときは、可能であれば、オンラインで参加してください。