シラバス情報

科目名
心理学的支援法(演習)
開講年度学期
2023年度後期
配当学年
3年
ナンバリング
単位
1単位
時間
火曜日2時限(10:40〜12:10)
教室
521教室
教科書
使用しない

1.担当教員
担当教員
中嶋 みどり
研究室
5号館4階
オフィスアワー
木曜5時限(16:20〜16:50)

2.授業の目的
(1)授業の目的
 本演習は、心理臨床家(公認心理師・臨床心理士)の基本的姿勢を実践的に学び、多様な臨床現場に共通する対人援助の倫理観や連携の考え方を養うことを目的とする。
 心理的問題の相談に来られた要支援者や関係者の理解にあたり、自身の先入観を知ること、専門家としての共感や配慮の姿勢を来談者にどのように示し、対応するかを実践的に学ぶ演習である。その中で、自身の特徴、持ち味、自分の中でわきおこる感情や思いを直視して、討論する中で自己理解を深め、来談者・利用者の視点に立った対人理解・対人援助を常に自ら内省して学びとる態度を醸成する。
(2)到達目標とディプロマポリシーとの関連
①臨床現場での倫理観を土台に、来談者・利用者の人権と安全に配慮した適切な考え方ができる。<心理福祉DP7>
②来談者の情報を元に心理的、社会的問題を多面的にアセスメントし,柔軟かつ複眼的な見立てができるようになる。また日常生活に活用できるようになる。<心理福祉DP8>
③臨床心理面接における来談者の言動に対する基礎的な応答技術を身につける。<心理福祉DP7>
④グループ学習活動の中で出た多様な意見や討論をもとに、専門家としての姿勢を問い、自ら思考を深められる。<心理福祉DP8>
※2023年度各学科各学年のディプロマ・ポリシーはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/12fXHZFs-QxpNCVWvy1Ah18OkW4o0cwMx/view?usp=sharing】
※2023年度各学科各学年のカリキュラムマップはこちらのリンクからご確認ください。
【https://drive.google.com/file/d/1_VfRI8PurPp9sWP0mwRAT3xoGWeppXkA/view?usp=sharing】

3.授業の概要
 本演習は,心理臨床家(公認心理師・臨床心理士)の基本的姿勢および倫理観をもとに、要支援者や関係者の見立て、柔軟な捉え方を学び、自身の示す反応を常にアクティブラーニングで学ぶ。これまで学んだ臨床心理学や隣接領域の多様な現場を想定し、基礎知識を問い直し、専門的な共感性と配慮を自らのもつ知識や感性、内省力のもとに涵養を促し、自身の成長につなげる。他人との意見交換、討論を基礎に学習するため、自分自身の特徴をお互いに開放しあい、思考を深めて成長につなげていく。

※本演習は、複数の心理臨床現場での実務経験がある有資格者が担当する。
※関心のある領域・知見を広めるための情報検索・提示、意見をまとめるにあたって、クリッカー、Google Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用したアクティブラーニングを実践する。

4.授業の受け方・勉強の仕方
(1)予習の仕方
・本演習は、対人援助職の専門家としての姿勢を問うものである。
・予習したかが把握できる質問を時々問いかけるため、意識しないうちにそれが確かめられていると認識しておくこと
・自分の行った回答や応答をもとに、みんなの前で話し合う場が多い演習である。日頃から自分は、何故そのよう応答・反応するかを意識し、言語化する癖をつけること。

※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。
(2)授業の受け方
・本演習は、実演形式やロールプレイが多く行われるため、積極性と恥ずかしさを払拭することが強く求められる。自身にもお互いの考えをコメントしあいながら学ぶ有意義な努力が求められる。
・仮想事例も盛り込んだ内容を扱うが、情報量も多いため、内容をメモしながらよく理解すること。
・問いかけに対し「わからない」場合や先の発言者に同じことを言われた等の状態でも、自身の言葉で自分の状態を伝えること。(わからない、同じ考えが決して悪いことでない)
・課題は、充分に内省した感想・考察を書くこと。演習の内容が快・不快、難しい・簡単等の感想レベルで終わる感想のみの内容、提示しているテーマから外れた記述については、減点となるので、丁寧に取り組むこと。
・演習の内容に自我関与をもち、専門家・支援される人・第三者から見た視点等、多種多様な視点に移動して考える癖をつけること。演習中の他者の様子や意見のメモもとること。
(3)復習の仕方
・演習内容を早いうちに振り返り、理解不足の用語、概念の理解を定着させること。
・対人援助は、状況に応じて対応や考え方が異なるため、対応のあり方は1つでなく、マニュアル通りにいかない。よって、授業外でもさらに多種多様な対応を考えること。さらに、なぜその対応の在り方が大切なのか、意図や意見を述べられることまでが説明責任として大切である。

※課題の提示・提出にあたっては、UNIPAやGoogle Forms、Jamboard等、LMSをはじめとするICTを活用する。

5.受講にあたってのルール
・考慮に値する理由のない遅刻、欠席、早退は、認めない。それらがないのを当然とする。考慮に値する理由である場合は、判明した時点で、自分で責任をもって、申告すること(友人等に委ねない)。緊急の場合でも、メール等できることは全て行うこと、最終的に、自分から担当教員を訪問し、事情説明を行う等、誠意を示すこと(社会人になることを視野に入れた対応でも重要)
・考慮に値する理由のないレポートの提出遅延は、大幅の減点とする。未提出の課題があった場合は、指導が入る、それでも未提出の場合は、履修態度不良とし、今後の履修を認めないことも大いにある。
・受講時は、私語を慎み、内職等は行わないこと。ロールプレイの準備等も含め、円滑に進むように手伝うこと。
・ロールプレイは、恥ずかしがらず、真剣に行い、お互いに協力すること。ネガティブな内容等、多様な状況が扱われることもあり、同級生が相手でやりにくいかもしれないが、「勉強として」遠慮せずに行い、真摯に考えること。自分自身の個人の問題と結びつけて引きずらないこと。
・多くの心理臨床現場では1人仕事で、自分の考え・意見が大切であるため、まず「自分1人」で内省を行うこと。最初から、他人と相談するという姿勢は、推奨しない。

6.授業計画と「予習・復習」の内容及び必要な時間
テーマ
予習・復習
備考
第1回
オリエンテーション、心理臨床家の専門的訓練
・シラバスを読んでくること
・実習に対する基本的姿勢
第2回
Cl、利用者と関わる視点、歪み、実習生として学ぶ姿勢
・実習に対する基本的姿勢
・障害者のイメージと共生
第3回
応答訓練①
・心理臨床家の基本的応答
第4回
応答訓練②
・心理臨床家の基本的応答
第5回
応答訓練③
・心理臨床家の基本的応答
report課題の提示①
第6回
臨床動作法を用いた観察とストレスマネージメント①
臨床動作法とは
第7回
臨床動作法を用いた観察とストレスマネージメント②
動作のアセスメント
ストレスマネージメント
report課題の提出①
第8回
記録の重要性、記録の書き方①
・記録の重要性
・記録・カルテの基本的な書き方
・逐語記録の書き方
第9回
記録の重要性、記録の書き方②
記録・カルテを書く視点
第10回
面接環境の整え方と推論演習
電話申し込みなどの情報をもとに面接構造をどう整えるか考えておくこと
第11回
インテーク(アセスメント)面接の実践と行動観察
親子並行面接と子どもの臨床の特殊性
・インテーク面接・アセスメント面接の実際
・親子並行面接
・子どもの臨床の特徴
report課題の提示②
第12回
面接構造の設定と制限の実践①
心理面接における制限
第13回
面接構造の設定と制限の実践②
心理面接における制限の実践
report課題の提出②
第14回
促進的な応答と技法、模擬面接の実践①
促進的な応答にかかる技法
第15回
促進的な応答と技法、模擬面接の実践②
スーパービジョンを受けられるようにまとめること
report課題提示③
第16回
予習・復習
・目安の時間として、授業1コマにつき、予習、復習で60分程度が必要。
・演習内で予習内容を問いかけますので、している・していないが見えるものと思ってください。
・わかっている用語を甘く見ず、それを掘り下げるのがこの演習と考え、具体的にどのように自分が行うのか、今の自分ができることを増やすつもりで勉強すること。
・時間外に記録作成等の作業もあり、復習も求められるため、勉強し続ける手間を惜しまないこと。

7.評価方法(テスト、レポート、課題等へのフィードバック方法を含む)
到達目標と評価項目の関連
・レポート(40%)・・・演習内でのリアクションペーパーおよび宿題・予習課題提出レポートの評価。
・平常点(60%)・・・演習内の活動への参加度、発言の積極性、他者との協力、生産的な発言

※専門的支援関係において実際の自身の行動から学ぶ科目である以上、欠席・遅刻等の連絡は、判明した時点でアクションを起こす対応を求めます(演習への参加度の評価とも関連させます)。
・事前に遅刻・欠席、レポート提出遅延等がわかっているのに、自ら申告しないまたは事後すぐに申告・説明に来ない場合は、履修継続を認めない場合や成績評価の対象としない場合があることを心得ておくこと。

8.参考図書・文献
臨床心理学実習 -心理検査法と治療技法
倉石精一
誠信書房
9784414401233
3rd Ed. Playtherapy プレイセラピー - 関係性の営み (新版)
Landreth, Garry.L. 山中 康裕【監訳】
日本評論社
9784535563377
目でみる動作法 -初級編
成瀬悟策
金剛出版
9784772413275
カウンセリングテクニック入門
大谷彰
二瓶社
9784861080111
心理臨床家の手引き 第4版
鑪幹八郎・名島潤慈
誠信書房
9784414416435

9.履修上の注意
・臨床心理学概論、前期の心理学的支援法(講義)、心理的アセスメントの履修をしてください。精神医学、こどもや障害児(者)の理解など、関連する科目を予めまたは同時履修していることが望ましい。
・基本的に欠席・遅刻・課題提出の遅延、未提出は認めない。判明した時点もしくは事後すぐに可能な手段で申告・説明に来ることを遵守できない人は、本科目の履修には向かないので、注意すること。
・受講に際し、考慮・配慮して欲しい事情がある場合は、必ず2回目の授業までに担当者に相談してください。事情を考慮します。しかし、心理臨床家としての専門的な姿勢を実践的な演習であるため、応じることができない場合もあることを心得ておくこと。
・和やかな雰囲気で行う演習ですが、生産的で高度な実践的授業をするため、興味本位での履修でなく、以下3点を考えて履修してください。
①自分の回答や応答をもとにみんなの前で話し合い、何故そのように応答・反応するか等の発言を求めるので、それに対応できるか。
②自分の反応や考えの傾向を直視し、受け止められるか。生産的に取り組んでいけるか。ネガティブな気分は引きずるような心のタフさや健康度が問われる演習であると心得ておき、向かない人は履修を控えること。
③他人の考えや反応から学びたいと思い、敬意を払う姿勢をもった言動をすること。

※災害等で対面での授業が全学的に困難と判断された場合は、大学の通達に従い、遠隔授業を実施しますので、必ずUNIPAやメールを確認して
ください。