この授業では「東北」の「伝統」や「文化」を考えるために、これまで「東北」と呼ばれた時間・空間で生活していたひとびとに接近します。 とくに、民俗学者・柳田国男の『遠野物語』、柳田国男に影響を与えた江戸時代の旅人・菅江真澄の旅日記を通じて、「東北」で営まれた生活を取り上げていきます。これらを通じて、単純に「東北」の祭りや民間信仰を知るだけではなく、そうした「文化」や「伝統」にかかわりを持つことが実際に生活しているひとびとにとってどのような意味を持ったのかを考えていきます(そして2023年現在、仙台で生活するわたしたちにとってどのような意味を持つのかも)。 また「人間中心」的な「伝統」や「文化」の考え方を批判的に捉え直す視座を獲得するために、岩手県出身の宮沢賢治の童話を題材として、人間以外の視点からも「東北」を問題にする予定です。
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